ACM-ICPC 2017 Asia Tsukuba Regional

12月15日から17日の3日間,ACM-ICPCのアジア地区予選つくば大会にオンサイトスタッフとして参加した.日本のアジア地区予選に参加するのは今年で5回目で,純粋なスタッフとして参加するのはたぶん3回目だけれど,コーチ(引率係のこと)として参加して半分スタッフのように働いていた年も1回あったはず.

0日目(設営日)

今年の会場はTXつくば駅から10分ほどのところにあるつくばカピオで,2015年のつくば大会と同じ場所だった.施設の構造を既に把握できているのでたすかる.スタッフは朝9時に会場に集合することになっていて,7時に家を出れば十分なのに間違えて4時半に起きてしまう.そのまま出かけてつくば駅前のカフェで朝ごはんを食べつつ2時間ほど暇をつぶしていたが寒くて厳しい日だった(Google Nowから"-2° in Tsukuba"の通知がきた).

この日の設営に来ていたのは,IISFでいつもICPCのお世話をしてくださっている方々と,ICPCセクレタリーズのひとびと,JAG(ICPCのOB/OG会)から私を含めて4人くらい,大会スポンサーでコンテストにネットワークを提供してくださるNTT Comのみなさん,IOIから派遣されてきた@sorahなど.昼ごろから筑波学院大学の学生も手伝いにきてくれていたようだけれど,あまり把握できていなかった.

ネットワーク構築や,アリーナ内の養生・電源工事・コンテスタントPCの設置などが行われている裏で,JAGメンバーはスタッフルームの設営や会場の装飾などの作業をする.スタッフルームは,コンテスタントに届ける風船や印刷物を用意するなどする部屋のことで休憩場所も兼ねている.アリーナに飾る風船(30個*11問分)をふくらませるのがわりと大変で,作り終えるのに14時くらいまでかかってしまった.昼ごはんはカピオに併設されている掘っ立て小屋のようなレストランでたべた.15時くらいにコンテスタントPCの設置がなされたので,エッジスイッチからPCまでのUTPケーブル接続作業などする(50+台あるので一苦労).セクレタリーズの@bakamingから「体力仕事でごめんね〜」とかいわれたが,ICPCが体力を要求することはよく知っている.

その後JAGメンバーは17時に解放されたが,出るのをもたもたしていたら一人はぐれてしまったので,引き続き会場に残ってセクレタリーズの手伝いをする.リハーサル用の問題文の入った封筒を机にならべるなど細々とした仕事はあったが,私の権限でできる作業は早々になくなったので,PCセットアップを行っているシステム班のひとびとと駄弁っていた.モックコンテストが動作することを確認できたので20時に撤収し,セクレタリーズと中華料理屋さんへごはんに行く(たくさんたべてしまった).宿へ引き上げて寝る.

1日目(リハーサル日)

6時半とかに起きてぼんやりしつつごはんをたべて9時に会場に向かう.寒い.スタッフ宿が近いのはたすかる.

今年はこの日にコンテスタントが参加するJAXAツアーが組まれていて,コンテスタントが会場にくる14時半までに前日から積み残しているアリーナ設営作業を行う.アリーナに風船を挿すためのポールを立てたり椅子を並べたりするのは,50チーム分となると作業量はかなり多いが,JAGからたくさんと筑波大学からも数人来てくれたので人海戦術を適用すれば一瞬でおわる.リハーサルコンテストA~C問題用に風船を50*3個ふくらませる(これは風船ポンプの数に律速される).それと並行して,コンテスタントの机にTシャツや各種資料を配布する(これは大部分を筑波学院大学の学生スタッフに手伝ってもらった).その他に,重要度の低いUTPケーブルの敷設作業も引き受けた(50 mとかなので素人でもできる).

おひるは巨大なおべんとうが配られるが,このあとの運動量を考えるとちゃんと食べておかないと倒れるのでがんばってたべる.

コンテスタントたちが来はじめてからは会場内の巡回する仕事がある.この日のアリーナでのコンテンツはオープニング30分とリハーサルコンテスタント1時間だけで,歩き回るのはさほど大変でないが,英語で喋るリハビリをする必要がある(大会スタッフとコンテスタントの間の公式なコミュニケーションは全て英語で行わなければならない).すぐに英単語でてこないことあってよくないなあ.リハーサルがはじまると適当にアリーナ巡回と,風船・印刷物配送を交代しながらこなす.短時間で風船と印刷物がたくさん出るので配る.

リハーサルの後はバスで筑波学院大学へ移動して歓迎会に参加した.歓迎会では地区予選一番のおもしろコンテンツであるところのチーム紹介がある(みなさんあまり英語をしゃべれないのでスライドでウケを狙う形になる).インダストリアル・スポンサー代表の人選はとてもよかったね(コンテスタントに近い年代の人に喋らせるの大事だと思う).歓迎会のごはんは全体的に茶色っぽくて疲れている状態ではあまり食べられずつらい.20時くらいに解散し,歩いて宿まで戻って寝る.

2日目(コンテスト日)

5時半に起きて8時に会場.眠いし寒い.この日はコンテスタントが8時半ごろから来はじめて,9時半コンテスト開始のスケジュールになっている.

コンテスタントが来る前に風船づくりをする.A~C問題の風船はリハーサル分を使いまわせるのでD~K問題の分を10個ずつくらい.今年はD問題以降が難易度でソートされていないので,スタッフもどの色を何個作っておけばよいかわからない.裏ではアリーナの机の上に問題文を並べるなどの作業が行われていたはず.コンテスタントの入場が始まってからは主にアリーナ内の巡回をする."Do not touch anything on the desk."の指示に従わず問題文の封筒に触れるコンテスタントを注意して回る.お菓子の持ち込みは禁止だし,電子機器を持ってくるのも失格なので摘発する.このへんスタッフによって取り締まりの厳しさがばらばらなのがあまり良くないと感じる.

コンテストが始まってからは巡回にくわえて風船と印刷物を配る(これを5時間やる).途中,昨日とおなじ店の巨大なおべんとうが配られるが,既に3,4時間あるきまわっているとさすがにおなかがすいていてたべる.終わりの方は疲れから注意力が落ちている自覚がでてくるので,チームID・チーム名・机番号を指差喚呼して誤配のないように気をつけていた.スタッフルームでは休憩がてらみなさん順位表とニコ生配信を眺めてわいわいとしている(配信は会場内の別室から主にJAGのスタッフが担当して行っていて,今年は私は関与しなかった).

コンテストが終わるとコンテスタントたちは問題解説・表彰式のために別室に移動するが,そのあとの懇親会の会場としてアリーナを利用するために転換を行う必要がある.レンタルしているPCを返すための梱包・IISFに送り返す荷物の箱詰め・ネットワーク撤去・掃除などが並列に行われ,その後スポンサーブースを作る.私は学生スタッフを10人くらい借りてPC梱包の指揮をすることになっていたが,途中で指揮系統が混乱して別の作業に人員を取られてしまう.人を使うのはなかなか難しい.1時間半くらいで会場転換を終えられたので,表彰式に向かうと順位発表を見ることができた.今年は順位表の凍結前に1位が確定してしまっていたけれど,盛り上がってよいですね.yes/noおじさんのクオリティがどんどんあがっている気がする.

懇親会では,スポンサー企業から来ている顔なじみの人々と適当に話しつつ,企業賞の授与などを眺めていた.ドワンゴのブースで輪投げをして,テレビちゃんぬいぐるみを5匹もらってしまったけれどどこに飾ろう(この企画では,n個の輪を同じ柱に入れると,O(n^2)個のぬいぐるみをもらうことができた).ごはんはおいしかったけれど,ちゃんとした昼ごはんなしで朝から競技をしていたコンテスタントのみなさんがあっというまに食べてしまう.

懇親会が終わって20時ごろ,ひとびとが帰り懇親会場が片付けられているのを眺めていると,緊張が抜けて身体のあちこちが痛いことに気づく.Activité Popで計測したデータによると,この3日間で41 km (10+11+20)あるいたらしい(ちょっとがんばりすぎた).完全に疲弊しているのでまっすぐ帰宅してICPC終了.

3日目

この日はコンテスタントはプラチナスポンサーの会社見学に行っているはずだけれど,私には関係がない.起きたら16時だった.

来年

家に帰ったあとも,今年でコンテスタントを引退するひとびとをJAGに勧誘する仕事があり,そのためにこの日記を書いている(が,魅力的な仕事にみえるように書けているかは疑問だなあ).ここにかかれているようなアジア地区予選の裏側を体験したくなった場合,JAGに入会すると,来年の横浜大会を手伝うことができる(例年通りであれば).ICPCをやっている人であれば知っていると思うけれど,JAGはアジア地区のオンサイトスタッフ以外にも,模擬予選(国内,アジア地区),夏合宿の運営などをやっていているので,これらに少しでも興味のある人は気軽にメールを送ってほしい.

今回は私はオンサイトスタッフとして参加しただけだったけれど,こういうイベント裏方業が好きなことがわかってきたので,もう少し運営側に食い込んでいきたいと思っている.

また来年あいましょう.